
教授
小野 智佐子 (おの ちさこ)
担当科目
- 大学生入門
- 母性看護学概論
- 母性看護援助論Ⅰ
- 母性看護援助論Ⅱ
- 母性看護学実習
- 看護研究Ⅱ
- 領域別専門看護演習
- 統合実習
- 地域交流看護実習
- 家族看護学
メッセージ
ウィメンズヘルスに関わる看護とマタニティサイクルにおける家族を形成する親子と家族を支援する母性看護学を担当しています。母性看護学実習では母児の二人の命にかかわり、責任が大きいのですが、元気な新生児が産まれると安堵するとともに幸せな気持ちになります。母児とその家族が健やかにそして幸せになって欲しいと祈る気持ちになります。
保健師・看護師を目指す学生さんに、「自分自身への誇り」と「たゆまぬチャレンジ精神をもつ勇気」を支援していきます。最後まで諦めないでチャレンジしていくと、自分自身が成長できることにつながります。自分自身の目標を明確にして、ビジョンを叶え夢の実現を達成していきましょう。学生の皆様が仲間と一緒に前進し、ポジティブな心で素敵な学生生活が過せるよう支援いたします。
教育方法に関して大切にしていること
1.教育方法の工夫
教育方法の工夫として「ルーブリック評価」および「反転授業」を採用し、教育効果を高めています。また、学生とのコミュニケーションツールである「大福帳」の活用ならびに確認テストを通して、知識の定着をねらっています。
1)教育目標到達を保証するためにルーブリック構築
ルーブリック評価は、学修目標の達成度を判断するため評価の観点(規準)と観点の尺度を数段階に分けて文章(記述語)で示し、評価の基準から構成される評価ツールです。教育目標到達を保証するために、学修目標(学修の結果として身につく知識・ スキル)、教育内容(学修項目・獲得方法)を再検討し、「到達目標」と「具体的に求められる行動、水準」を設定しています。アクティブラーニングに対しても公正に一定の基準で評価できるメリットがあります。学修者主体の学修手法である演習・実習では、教員の持つ意識によりエラーが起こり、 評価バイアスが生じる危険性があります。例えば「成績や学内での学修態度から得たイメージをもとに判断してしまう」「優れた点を見ると他もすべて優れていると感じる」等の認知が生じる可能性があります。そこで「公平」「納得」「適正」な評価を実現するためには、評価バイアスが生じにくい評価が重要であると考えます。ルーブリックを用いると評価者による評価の偏りを少なくし、明示された評価基準によってより細かな評価が可能です。Roblyer & Ekhamlが提案しているルーブリック評価の考えを基に作成しています。
2)反転授業によって主体的学修態度の促進
反転授業とは、授業前に自宅学習をし、授業では学修内容に関わる演習や議論を行います。つまり学びのインプットとアウトプットの場を逆にすることです。アメリカで始まり、国内でも東京大学を始め複数の大学で広まっています。私は演習科目である母性看護援助論IIの看護過程に採用しています。学生は授業前に提示された課題・オンライン教材等によって自宅学習し、授業では演習や議論を行う授業形態をとります。学生自ら課題を進めていくためには反転授業の趣旨を理解し、自ら進めることができる教材を検討し実施しています。自宅学習を進める際に生じる疑問には、担当教員としてメールや対面にて対応し、授業では提示した課題の解説を行い、その後応用・発展的内容の演習を段階的に進めます。
3)大福帳を用いた授業改善・質問対応、双方向的なコミュニケーション
授業改善のツールとしてリアクションペーパー等が活用されてます。様々なツールの中でも双方向的なコミュニケーションが特徴である『大福帳』を使用し、質問対応ならびに授業改善に役立てています。現在、対象学生へのフィードバックは手書きあり、コメント対応に多くの時間を要するためウェブアプリ大福帳.jsを検討中です。
2.専門領域についての考え
母性看護学や助産学を専門とし、女性のライフサイクルやウェルビーイング(ウェルビーイング)を軸とした研究と社会貢献を続けています。教育者・研究者として専門知識を深めるだけでなく、それをいかに社会の仕組みや人々の幸福に結びつけるかという、実践的な研究によって、地域社会への知の還元や、女性の社会進出を支援したいと考えております。
母性看護学は、妊産褥婦および新生児への看護活動に加え、次世代の健全育成を目指し、女性の一生を通じた健康の維持・増進、疾病予防を目的とした看護活動を目指す実践科学です。母性看護の対象は、全てのライフサイクルにおける女性でありますが、臨地実習においては、主としてマタニティサイクルにある妊婦・産婦・褥婦と胎児・新生児とその家族を対象とします。マタニティサイクルの経過は、本来生理的であり疾患ではないことが多い。疾患をもつ対象理解をしてきた学生にとっては戸惑いを抱く傾向にあります。一方、周産期にあるハイリスク妊娠、分娩、産褥にある対象は、正常からの逸脱があります。そのため母性看護援助論では、正常からの逸脱、異常に対する看護実践能力も養っています。周産期にある妊娠・分娩・産褥・新生児の各期に起因する異常について学び、どのような看護が必要かを専門医師および周産期救急経験の助産師である教員から、最先端の知識を教授し臨地で多くを学べるようにしています。
5.母性看護学で大切にしている視点
(1)ウェルネスの観点
対象者が持つウェルネスとは健康増進だけでなく、社会的・心理的・個人的な側面も重視し、より高いレベルの生活機能に向けた絶えまない変革の過程と言われます。母性看護学では、従来の「問題志向型」から、健康や幸福を最大化する「ウェルネス志向型」への転換が大切であると考えます。対象が自身のありのままを受け入れ安寧を求める志向であり、目標に向かって成長・発達を目指していく行動そのものを意味します。その人らしさを保ち、癒し共感することがその人の強みを引き出し、潜在能力が最大限発揮されることを期待するものです。母性看護学の看護過程において、対象者の身体的健康だけを目指すのではなく、その人の現在置かれている状況や反応に着目し検討します。対象の生活状況を把握し、「強み」や「自分らしく生きる力」を最大限に引き出すことに重点を置いています。思考そのものをウェルネス志向へ転換し、全人的な視点で看護活動を行うことを学ばせています。
2)エンパワメントの視点
従来では、医療者が主導権を握った援助が一般的でありましたが、現在ではクライアント自身の力で問題を解決していくという、いわゆるクライアントも医療、看護に参加する考え方が主流となってきています。エンパワメントとは人が本来もっている力、一人ひとりに潜む力や可能性を引き出し、個人がより力をもち自身で生活をコントロールできることを意味します。ある事柄を問題であると捉えると、そのネガティブなイメージより事柄をコントロールできないと認識してしまう傾向にあります。エンパワメントは「できない」は「課題」として、考え方を変えてみる。課題解決のイメージができると課題は目標へと変化しその結果、クライアントとその家族が本来もつ力を発揮し、自分自身でコントロール可能になっていきます。このエンパワメントの視点をもち、クライアントの力(生きる力や健康促進への力)を看護師が引き出す援助を学びます。エンパワメントに向かうには、クライアントが十分な情報に基づき、意思決定し、行動できるようにサポートしたり、そのような環境を整備することも含まれます。
3)女性を中心としたケア(Women-centered-Care:WCC)
母性看護学では、看護を提供する者として、女性を中心としたケア(Women-centered- Care:WCC)の観点を大切にしている。女性を中心としたケア(WCC)の特徴には、「尊重、安全、ホリスティック、パートナーシップ」の 4 つがあります。「尊重」では、女性の体験や価値観、希望やニーズを尊重し、「安全」は、プライバシーの保護、不必要な医療介入は行わないこと。「ホリスティック」は、個別性を重視したケアを行うこと、「パー トナーシップ」は、女性と医療者のパートナーシップであります。このようなケアを通して、 対象者の本来持っている力や能力を引き出す看護を学んでいきます。
4)家族を中心としたケア(Family-Centered Care:FCC)
母性看護では、女性だけでなく、胎児や新生児とその家族も看護の対象となります。妊娠、分娩は新しい家族形成の出発点であることから、女性や児だけでなく家族という視点が重要となります。そのため家族を中心としたケアFCC(Family-Centered Care)を重視しています。人の誕生を中心に、家族を含めた安全で快適なケアFCC(Family-Centered Care)を提供する看護を学んでいきます。
5)母性看護学実習のねらい
実習では女性の一生の中で、最もドラマティックな“生命の誕生”の瞬間に立ち会い、一人の女性が妊娠・分娩・産褥をとおして、“母親として成長していく過程”にかかわります。本来、生理的現象ではあるが、女性の生涯の中でも特に発達危機に陥りやすい特徴があります。そこでこの時期にある女性と新生児及びその家族を対象に、ウェルネスの観点から妊娠、出産および育児において、健康の維持増進や健康上の課題を解決するための基礎的能力を養うことをねらっています。また母性看護学実習を通して自身の親性観を深めることもねらっています
学生さんからの評価に対して
授業及び演習では、毎回の授業で大福帳(リアクションペーパー)を活用し学生の質問対応及び授業内容理解の深化に力を尽くした。今後も学生さんからの評価を真摯に受けとめて改善に努めていきます。
その他
【競争的研究費獲得】
‣ 日本学術振興会科学研究費助成事業,基盤研究(C)26K13799研究代表者,2026年4月~2031年3月,エコー装置を用いた乳汁うっ滞部の乳腺葉特定およびうっ滞乳腺炎移行兆候の可視化
‣ 日本学術振興会科学研究費助成事業,21K21171研究代表者,2021年4月~ 2025年3月,赤外線サーモグラフィ法を用いた乳汁うっ滞乳房の皮膚温度分布
‣ 川崎市人権局男女共同参画室研究助成,研究代表者,1999年4月~ 2002年3月研究課題:専業主婦の社会的承認に関する研究
【表彰等】国際医療福祉大学グッドティーチング賞受賞、保健医療学 科目:リプリダクティブヘルス看護方法論,2015年3月受賞
【社会等との関わり】
‣ 人間総合科学大学第93回生涯学習講座講師,男女共同参画社会を目指す中での女性が置かれた状況,2026年2月
‣ 国際医療福祉大学 実習指導者講習会講師,2013年4月〜2017年3月
‣ 小田市おだぴよ子育て支援センター相談員,2013年4月〜2017年3月
‣ 小田原市子育て支援センター こゆるぎ子育て講座講師,2013年4月〜2017年3月
‣ 川崎市看護協会 教育委員会委員,2002年4月〜2004年3月
‣ 川崎市プレパパプレママ教室担当,2002年4月〜2004年3月
‣ 神奈川県看護協会 社会経済福祉委員会委員,1995年4月〜1997年3月
‣ 日本看護協会代議員,1995年
ティーチングポートフォリオ
主な経歴
- 慶應義塾大学医療看護学部TA(母性看護学・助産学領域、地域看護学領域)
- 共立女子短期大学看護学科専任講師 (文部科学省教員審査,共立女子大学看護学部専任講師)
- 国際医療福祉大学小田原保健医療学部看護学科准教授・同大学大学院医療福祉学研究科看護学専修准教授
- 神奈川工科大学健康医療科学部看護学科教授(文部科学省教員審査,神奈川工科大学看護学部准教授、教授)
- 群馬医療福祉大学看護学部教授・同大学大学院社会福祉学研究科教授
学歴
東洋大学大学院 社会学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得満期退学
慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科看護学専修地域看護学専攻修了
東洋大学大学院 文学研究科社教育学専攻修了
論文・学会発表・著書・メディア
【論文】
【論文】
‣ 単著 赤外線サーモグラフィ法を用いた乳汁うっ滞乳房の皮膚温度分布,人間総合科学大学紀要48号,25(1)pp15-20,2025.
‣ 単著 乳汁生成第Ⅲ期における乳汁うっ滞乳房のサーモグラフィ画像の特徴 ,日本医学看護学教育学学会誌,2026.
‣ 共著 問題志向型からウェルネス志向型への転換を目指した教育方法における学生の学び〜母性看護学看護過程を対象に〜 ,日本医学看護学教育学学会誌,35(2),2025.
‣ 単著 令和6年能登半島地震発生に伴う1.5次避難所派遣の活動報告,人間総合科学大学紀要46号,pp17-22.2024
‣ 共著 今、私たちきできること令和6年能登半島地震1.5次避難所派遣報告,群馬医療福祉大学論集,2024
‣ 共著 基礎看護学教育におけるサービスラーニングの教育的効果の検討,日本医学看護学教育学学会誌,34(1) ,2024.
‣ 単著 助産師のコアコンピテンシーからみた開業助産師の実践能力,群馬医療福祉大学紀要12号,pp31-44 ,2024.
‣ 単著 開業助産師によるエンパワメントに向けた支援~助産師と女性との相互関係に着目して~,群馬医療福祉大学紀要11号,pp13-20,2023.
‣ 単著 産褥早期の女性にリラックスをもたらすケアプログラムの開発~,群馬医療福祉大学紀要10号,pp1-14,2022.
‣ 単著 Midwifery Support Empowers Pregnant Women: Focusing on Continuous Care from the Prenatal to the Perinatal and Child-rearing Periods,Kanagawa Institute of Technology 45(1), p31-36,2020.
‣ 単著 Findings relating to midwives’support for
mothers in their acquisition of independence in postnatal child care ,The 4rd International Society of Caring and Peace Conference,2019.
‣ 単著 A Study of the “First Grade Barrier” Experienced by Working Mothers,The 4rd International Society of Caring and Peace Conference,2019.
‣ 単著 大学生の乳幼児世話経験とジェンダー意識との関連 ,日本ウーマンズヘルス学会論集 ,18(1) pp24-25 ,2019.
‣ 単著 母性看護学看護過程における問題型看護診断からウェルネス型看護診断への思考の転換を目指した教育に対する学び,日本看護学会ヘルスプロモーション,2019.
‣ 単著 大学生の乳幼児世話経験とジェンダー意識との関連,第29回日本ウーマンズヘルス学術論集,14(1) ,2019.
‣ 単著 A Study regarding the Effectiveness of Care Programmers for Helping Postpartum Women Relax,Kanagawa Institute of Technology 42(1), pp31-36,2018.
‣ 単著 自律神経活動および一般感情尺度を用いたリラックスケアプログラムの検討 ー産褥期の女性へのリラックス効果に焦点を当ててー ,日本ウーマンズヘルス学会論集 ,18(1) pp22-23 2018.
‣ 単著 ワーキングマザーが体験する「小1の壁」に関する質的研究 ,現代社会研究,27(13) pp177-183,2018.
‣ 単著 女子大学生の月経随伴症状の実態および食品摂取量との関連,日本看護学会論文集,ヘルスプロモーション,48(1) pp63-66,2018.
‣ 単著 Midwife Support and Maternal Identity: Fieldwork Study at a Birth Centre, The 3rd International Society of Caring and Peace Conference ,2017.
‣ 単著 An Investigation into the Effectiveness of Care Programs for Helping Postpartum Women Relax, The 3rd International Society of Caring and Peace Conference ,2017.
‣ 単著 Independent Midwifes’ Interaction with Clients and Their Empowerment: Focusing on continuous care from the prenatal to the perinatal and child-rearing periods ,The 3rd International Society of Caring and Peace Conference ,2017.
‣ 単著 A survey on awareness about loneliness of elderly people living alone and relationship with care managers, The 3rd International Society of Caring and Peace Conference ,2017.
‣ 単著 乳汁生成第Ⅲ期における乳腺炎の形態的特徴に関する研究 ,日本ウーマンズヘルス学会論集, 16(1) 2017.
‣ 共著 受胎調節実地指導員の役割-日齢0日虐待死の回避ー,日本ウーマンズヘルス学会論集 ,16(1) 2017.
‣ 単著 助産師による産褥期における初産婦のエンパワメントに向けた看護支援 ,日本看護学会論集: 精神看護 47(1) pp51-54 ,2017.
‣ 単著 首都圏在住共働き家庭の女性が体験する「小1の壁」の特徴 ,神奈川母性衛生学会誌 20(1) ,pp20-26, 2017.
‣ 単著 Midwifery Suport That Empowers Clients: Focusing on Continuous Care from the Prenatal to the Perinatal and Child-Rearing Periods, International Confederation of Midwives,2015.
‣ 単著 The Competency of Local Private Midwives: Their Suporting Independence in Childrearing, The 11rd International Confederation of Midwives,2015.
‣ 単著 The Relationship Between Dysmenorrhea Symptoms and Dietary Intake forFemale College Students in the Greater Tokyo Area, The 11rd International Confederation of Midwives,2015.
‣ 単著 Sense of Self in Women Choosing the Life Path of a Full-Time Housewife, The 11rd International Confederation of Midwives,2015.
‣ 単著 The Competency of Midwives in Independent Practice: Their Suporting Mothers' Autonomy in Childrearing,International Sociological Association ,Oral presentation ,2014
【著書】
- ‣ 共著 『新たな看護の実践と教育に向けて(看護学研究叢書)』株式会社ウイズ・ケイ,pp.109-126,2012.
‣ 共著 『国家試験合格パスポート』,クリニカルスタディメヂカルフレンド社,2007.
‣ 共著 就職前の技術演習の意義―学校と臨床をつなぐ技術教育―,看護教育45(3)p.170-174,医学書院,2006.
‣ 共著 出題基準から第94回国家試験が見えてくる,クリニカルスタディ,メヂカルフレンド社,2004.
‣ 共著 国試合格ナビゲーション母性看護チェックポイント,ナーシングカレッジ,医学芸術社,2006.
所属学会
日本助産学会,日本医学看護学教育学会,日本看護科学学会,国際ケアリング学会,日本ウーマンズヘルス学会,日本心身健康科学学会,日本看護理工学学会
