4月に着任しました藤田益伸(よしのぶ)です。愛媛県出身で、兵庫県に長く在住していたので、関東の都会度合いに圧倒されています。大学で心理学を学んだ後、高齢者施設での介護職・相談員やコミュニティワーカー等の福祉の仕事に従事しました。福祉実践に携わりながら、研究を通して根拠を示し、社会問題の改善を働きかけていくアクションリサーチを行っています。
「福祉とは何か」という問いに対し、「ふつうのくらしのしあわせ」と説明されます。障がいの有無に関わらず、誰もがふつうに生活できるよう社会を整備することは確かに重要です。ただ、何がふつうかという前提条件も、常に点検すべきです。病気や障がいがない?家族や友人がいる?大学まで通う?正社員になる?結婚する?子どもを育てる?かつてのふつうが憧れに変容し、参照すべき人生のロールモデルが見当たらないのが現状でしょう。
福祉の対象者と関わっていると、「ふつう」に囚われて生きづらいのは、実は私たちの方ではないかと思うことがあります。ふつうから外れたら即ゲームオーバーではありません。病や障がいと付き合いながらも、懸命に自分の人生を模索する姿に心を揺さぶられるし、生き生きした姿に勇気をもらうこともあります。むしろ、健常者といわれる人達の方が、世間並・常識・周りの皆がそうだから、といった外形的な価値観に囚われ、自分がふつうから外れるのを恐れて、身動きがとれない状況にあるのかもしれません。
人それぞれにふつうがあるから比べても仕方ないです。自分の内側にあるふつう、普段通りの自分らしさを発揮できることが、Well-Beingに寄与すると考えています。「無理に外形的なふつう合わせなくてもよいし、少々失敗や迷惑をかけても構わない。困り顔の人を見かけたらさっと手を差し伸べる人になって」、自分にも他人にも優しい社会になればいいなあ。」と飼い犬の散歩をしながら思う今日この頃です。