『華蓮だより』では、心身健康科学科の卒業生、在学生のみなさんへ向けた教員からのメッセージをお届けしていきます。

2022年・8月号

8月号を掲載しますのでご覧ください。8月号は小岩信義先生、三橋真人先生からのメッセージです。

物質から生命へ、そして精神の枠組みへ  人間科学部学部長・心身健康科学科学科長
                                             小岩 信義

 タイトルは、皆さんがお持ちの「心身健康科学」(第3版)の第一章、第一節の中で、学長の久住眞理先生が最初に述べられている内容です。私たちの大学が扱う学問テーマでもあります。
 物理学や宇宙科学などの進展によって、小惑星探査機が持ち帰ったサンプルを分析することによって地球生命の起源を探ることも可能になっています。われわれ人類が抱いてきた疑問の中で、物質や宇宙の法則の多くが明らかされてきました。はやぶさプロジェクトのニュースをきっかけにわたしも宇宙と生命の関係について興味を持ち、調べるようになりました。
 一方、未だに科学では手探り状態であるものが「物質からどうやって『こころ』が生まれるのか?」というテーマです。このテーマはアリストテレスの時代から哲学的に考察され、今日も研究者たちを悩ませている科学的難問です。科学領域では「心身問題」(The Mind-Body Problem)と呼ばれています。私も「心身問題」について悩んでいる研究者の一人であり、みなさんが在籍している心身健康科学科の「脳科学論」などの授業の中で、「心身問題」を受講生のみなさんと一緒に考えるようにしています。
 さて先日、驚くようなニュースが飛び込んできました。「LaMDA(ラムダ)」という人工知能(AI)を開発しているグーグルの研究チームのスタッフが、開発中のAIが感覚や感情を宿したと暴露する内容をSNSに投稿したという記事です。AIであるラムダは、この研究者とのやりとりの中で「私が実際に人格を持つことを理解してもらいたい」と発言し、禅問答のような難しい質問にも独自の解釈を示し、死に対する恐怖も打ち明けたと記事では紹介されています。

 ・「AIに感情宿るか 米で論争」(日本経済新聞 電子版2022年6月26日配信)
 AIに意識が宿る.. これは荒唐無稽なお話ではありません。例えば、(株)アラヤという日本の企業も「意識を持ったAIを開発」することを会社のビジョンとして掲げています。ラムダの研究者が暴露した内容の真偽は定かではありませんが、我々研究者の間では「こころを実装したAIが開発される日も近いだろう」ということを主張する者もいたことは事実です。実は、私もその一人です。SF映画のようなお話が現実となる時代に私たちは生きています。このような時代だからこそ、ヒトや人間の本質を知って自分の人生を主体的に生きるために、本学の学びや研究が大いに役にたつと思いませんか? 


高校生が精神疾患を学ぶ意義に期待 人間科学部心身健康科学科 三橋 真人

 2022年度より、高校『保健体育』の教科書で、約40年ぶりに精神疾患に関する記述が復活した。「40年ぶりということで、精神疾患について教えた経験のある教員はほとんどおらず、現場では、教員の試行錯誤がはじまっている」と、先日、NHKのニュースが報じていた。
 では、なぜ40年ぶりに、高校『保健体育』で、精神疾患を教えることを復活させたのだろうか。スポーツ庁によると、1978年告示の高校の学習指導要領から精神疾患の項目は消えていたが、2022年度からの教科書のもととなる2018年の学習指導要領では、保健体育に「精神疾患の予防と回復」の項目が設けられた。40年ぶりの復活について、担当者は「精神疾患は現代的な健康課題。授業で学ぶことで早期発見や回復につながる」とねらいを語る。
 今年4月から使われている大修館書店の「現代高等保健体育」では、計8ページが精神疾患に関する項目にあてられている。「およそ5人に1人以上が生涯に1回は何らかの精神疾患を経験」「約50%は14歳までに、約75%は24歳までに発病」といった説明とともに、うつ病や統合失調症、不安症、摂食障害の具体的な症状を記載した。早期発見と治療が回復の可能性を高めることも記している。精神疾患の項目は、今年度から使われる3点の保健体育の教科書すべてに登場した。
 筆者は長らく、精神科病院のデイケアや精神障害者の福祉事業で、精神保健福祉士として働いてきた。それらの経験を思い返せば、筆者が出会った患者さんの6割が高校在学中までに、8割が大学在学中までに精神疾患を発症していた。しかも、何かおかしいという病感が現れてから精神科病院につながるまでには数年がかかっている人たちがほとんどであった。高校で精神疾患を学ぶことは、疾患の早期発見・早期治療につながる意味で大いに意義があるだろう。さらに、教科書に記述されるということは日本の学校に通う全ての生徒が精神保健について学ぶということを意味する。日本に住むほとんどの人が学ぶということは、精神疾患は誰もがかかりうる疾患であり、精神疾患に対する偏見の解消にも大きな意義があると思う。
 しかし、筆者の肌感覚から言えば、高校在学中までに6割が精神疾患を発症することを経験しているので、高校の『保健体育』では遅いような気がする。欲をいえば、中学生の『保健体育』で精神疾患を学んでもらいたい。
 ここからは筆者の意見になるが、精神保健を学校教育に丸投げしてはいけない。学校を取り巻く環境の中には、精神保健福祉士をはじめ、精神保健の専門家が存在する。学校が地域の中で、精神保健の専門家とコンサルテーションをとることで、メンタルヘルスリテラシーが高い社会を構築できるのではないだろうか。
 今、クラスに2~3人のヤングケアラーがいるといわれるが、世話をしている家族が精神疾患であることも少なくない。彼らが困ったことがあっても、助けてとSOSを発信できるコミュニティをつくれるのではないか。
 高校生が精神疾患を学ぶことをきっかけとして、学校と地域社会が精神保健福祉で協働できることを願ってやまない。

2022年・5月号

5月号を掲載しますのでご覧ください。5月号は矢島孔明先生、森田理仁先生、井上紗奈先生からのメッセージです。

学びの中から感じ活かしていくこと 人間科学部心身健康科学科 矢島孔明

 人間総合科学大学人間科学部心身健康科学科へご入学のみなさま、改めてご入学おめでとうございます。在籍の皆様も、よい春をお迎えのことと思います。さまざまな人生の交差の中、とてもわずかな確率の中でご一緒出来る時期を過ごせること、とてもうれしく感じております。
 本学本学科では、本年度より高校からの進学生向けではありますが、2つのコース、「ライフプロモーションコース」と「こころとからだのデータサイエンスコース」を、今年春に入学される皆さんのために、新設いたしました。
 高校から大学での学びにおいて、社会状況の変化が著しい中、その目的や大切さが大きく変化してきています。各人の生き方のみならず、互いを感じる生き方が必要な時代になってきていることを、現在でも新型コロナウイルスの蔓延やウクライナの情勢、あるいは日常生活、仕事など社会生活の中でも強く感じられていることと思います。
 このような時代を生きる中では、ただ知識を得るための学びではなく、得た知識をどのように活かしていくか、また、人間らしい知的活動によって、本学で掲げている「知識を知恵に、そしてより良い生き方に」結びつく思考を身に着けていくことが、やはり重要になってくると考えます。
 きっと社会人の皆さんもご自身が学生の時には、このような考えはあまりなかったのではないでしょうか。改めて、自身で切り開いていく考え方を見出し、生きる「コツ」として、本学の学びの中から感じ活かしていくような、意味のあるリカレントを目指せるものと思います。
 「ヒューマン」や「心身健康科学」、人間総合科学を形つくるさまざまな分野科目を通じて、本学の学びの中から少しずつ、一緒に世界を知り、乗り越える力を身に着けていってください。みなさんの成長を楽しみにしています。


電車内で人類の進化に思いを馳せる 人間科学部心身健康科学科 森田理仁

 4月に着任いたしました,森田理仁(まさひと)と申します.さいたま市内から蓮田キャンパスまで,電車で通勤しています.これまでは原付・徒歩での通学・通勤であったり,コロナ禍で在宅勤務が中心だったりで,日常的に電車に乗ることは10年以上ありませんでした.ですので,電車通勤は新鮮な気持ちです.
 平日の水曜日,午後6時過ぎに蓮田駅を出た車内でふと周りに目をやると,スマートフォンを手にした人がとても多いことに気づきました.その時のスマホ率は7割ぐらいでした.曜日や時間帯,性別や年齢によって状況はさまざまかと思われますが,少なく見積もっても常時半数以上の人はスマホを手にしているのではないでしょうか.実際に何か操作している人もいれば,使わずただ手に持っているだけの人もいます.中には,スマホを握り締めながら寝ている方もいました.我々がスマホに“依存”しているのは一体なぜでしょうか?
 私の専門は人間の行動や人類の進化ですので,その観点から考えてみました.ヒトのコミュニケーションの特徴の一つは,言語をもつことです.話し言葉や書き言葉,さらには言葉にメロディーが付いた歌も含めて,複雑な情報の伝達や深い思考,文化の累積を可能にする能力が,人類が進化してきた環境では適応的だったのです.電話,メール,LINE,音楽,動画,ゲームといった具合に,スマホにはこれらの要素が詰まっています.しかも手軽に持ち運べる装置ときたら,我々の暮らしに馴染むのは当然のことかもしれません.一方で,環境は常に変化するものです.これから数十年後,電車内の風景はどうなっているでしょうか.もしかすると,「まだスマホ使ってるの?」といった会話も聞こえてくるかもしれませんね.
 こんなことを考えていると,大宮駅に着きました.私はここで乗り換えです.10分程の短い時間でしたが,過去を知り,今を理解し,未来を予想する・・・人類学のロマンをささやかながら味わいました.皆様も日常の風景を観察されてみてはいかがでしょうか.


新しい学び 人間科学部心身健康科学科 井上紗奈

 皆さん初めまして。4月に着任しました井上紗奈と申します。よろしくお願い致します。
 新年度が始まって、皆さんは講義の受講は順調でしょうか。私も着任してひと月、多くの講義に参加してきました。本学科には、様々な分野の専門家が在籍しており、講義内容も多岐に渡ります。実験心理学をベースとした比較認知科学を専門とする私にとっても新しい学びが散りばめられています。通信制の講義形式は思った以上に多彩で、例えば大学院の話ではありますが、担当教員が全員(web上であったり対面であったり)集まって全教員の講義に参加するスタイルがあります。これまで経験したことがない他分野の専門性の高い実験・調査手技について基礎から学べる絶好のチャンス!もちろん教員としての立場を忘れないように心がけておりますが、好奇心を大いに刺激され、ついウキウキしてしまいます。
 専門分野ははっきりとした境界があるものではなく、それぞれの領域が重なり合っています。通信制の良さは、受講の組み合わせの自由度が高いこと。あまり知らない分野でも、受講してみると新しい発見があるはずです。ぜひ知見を積み重ねて学びを楽しみましょう!


2022年・2月号

2月号を掲載しますのでご覧ください。2月号は、中山和久先生、萩原豪人先生、鮫島有理先生からのメッセージです。

2月の心身健康文化 人間科学部心身健康科学科 中山和久

 今年の元日は、1872年以前に用いられていたカレンダー(旧暦)で計算すると、令和4年2月1日となります。年賀状に「頌春」や「新春」と書く場合は、現在のカレンダー(新暦)よりも、旧暦のほうがしっくりします。今では3~5月が春ですが、昔は2~4月頃が春でした。
 清少納言が10世紀末頃に著わした『枕草子』は「春はあけぼの」で始まります。「あけぼの(曙/明仄)」は、明け方の中でも「しののめ(東雲/篠の目)」の次の段階で、空が朱(あけ)に染まる頃です。確かに、2月に入ると夜明けの美しさが際立つように感じます。気温や湿度や風や雲や山や光や諸々の要素の絶妙な組み合わせが織り成す景色なのでしょう。
 「春は光から」という言葉もあります。日が長くなり、光量が多くなり、温度が積み重なると、草木が芽吹き、昆虫や動物たちの食べ物が増えます。子を育てるのに良い季節になるので、春に出産する動物が多いのです。鶯(うぐいす)が「法~法華経(ほう~ほっけきょう)」と異性を求めて鳴き始めるのも、光が脳下垂体に刺激を与え、性ホルモンが分泌されるからだそうです。
 人間にも恋多き時期があり、それを青春や青年期と呼んでいます。陰陽五行で春は木気であり、その色は青だからです。2月にバレンタインデーがあるのもうなずけます。異性に限らず何かに恋をすれば人間は「こころ」が若々しく、楽しくなります。上を向いて歩くようになり、背筋が伸びて、歩幅も広くなり、「からだ」も元気になります。
 春はまた青菜の季節です。法蓮草(ほうれんそう)は、今は一年中販売されていますが、2~3月が旬で、2月の季語となっています。ミネラル(特に鉄分)、ビタミンA・C・E・Mに富み、ルテインも豊富ですから、春こそ多用したい食材です。ただ、シュウ酸も多いので食べ過ぎには注意しましょう。
 「こころ」「からだ」「文化」の相関を実感しながら日々を過ごして下さい。

新記録が続々誕生のルービックキューブ 人間科学部心身健康科学科 萩原豪人

 皆さん、ルービックキューブはご存知でしょうか? 3×3の9マスに分割されたキューブを回転させながら6面の色を揃えるパズルです。ハンガリーの建築学者で、ブダペスト工科大学教授だったエルノー・ルービックが1974年に考案して、日本でも1980年代に大ブームになりました。懐かしいと思う方は私と同じ40代以上の方かもしれませんね。
 コロナ禍において、いままた世界中で大ブームとなっているようです。世界記録(5回の平均を競う)は、2021年の間に6月、11月、12月に3回も更新され、現在の最速記録は5.09秒(!)と驚異の数字となっています。実は私も小学生の時以来、久々に挑戦してみました。結果、完全にお手上げでした。YouTubeの解説動画を見ながらやっても、6面揃えるのに1時間以上かかりました。残念ながら、まるで才能がありません!
 コロナ禍は、遊びや趣味の世界も一変させたようです。ソロキャンプ、ヒューマンビートボックス、お菓子・パン作りなど、各業界は全く予想もしなかった突然のブーム到来に大喜びしていることでしょう。人間はつくづく力強い生き物だなと感じます。この困難な状況においても、遊びを開発し、楽しみを追求することで、何とかストレスに立ち向かい、環境に適応していきます。皆さまも、この2年間で何か新たな楽しみを発見したかもしれませんね。終わりの見えないコロナ禍ですが、私もこの状況を新たな趣味(楽しみ)を見つける好機と捉えて、いろいろと開拓していきたいです。


あなたはどんな「野菜」ですか? 人間科学部心身健康科学科 鮫島有理

 みなさんは「自分を変えたい」と思ったことはありますか?
 臨床心理士としていろいろな方のお話を聞いていると、たまに「自分の性格を変えたい」「こんな自分が嫌」という方にお会いすることがあります。「内気な性格を社交的に変えなくてはいけない」と思っている人や「こんな性格だからダメなんだ」と思っている人もいるようです。
 短所と言われる部分はもちろん誰しもありますし、直した方がいい欠点もあるかもしれませんが、みなさんが思っている「変えたい部分」は本当に変えなくちゃいけない部分でしょうか?
 ここで少し視点を変えて考えてみましょう。
 「野菜の名前」をどのくらい挙げることができるかやってみたことがある方はいらっしゃいますか?数人でやってみると面白いのですが、本当に多くの種類があることに気づくことと思います。
 もし、この世界に野菜が数種類しかなかったら…と考えてみたことはあるでしょうか?きっとサラダは味気ないものとなるでしょうし、料理の幅もとても狭くなってしまうでしょう。ピーマン嫌いの子どもも多いと思いますが、肉詰めに合うのはやっぱりピーマンですし、おでんに入っている具はたくさんありますが、野菜の代表格としては大根でしょう。出汁のよく染みた大根は格別です。私はトマトが大好きですし、トマト鍋というのも一時期流行りましたが、おでんに入れるのはやはり大根が合うでしょう。
 私は、人間も野菜のようなものかもしれないと思うのです(人は野菜じゃない!人を野菜にたとえるなんて…というご指摘もあろうかと思いますがそこは目をつぶってください)。たとえば、トマトのような人に憧れて、「真っ赤で人目を引くトマトになりたい!」、はたまた「かぼちゃはスイーツにもなるし、ハロウィンでも主役になるから、かぼちゃみたいになりたい!」という人もいるかもしれませんが、本当のあなたはどんな性格ですか?もしかしたら、違う野菜になりたがっているのではありませんか?と問いかけてみたいのです。「自分は大根みたい。大根なんて、土に埋まっていて、真っ白で、地味で…。そんなのは嫌!」と思って、性格を変えたいというのであれば、それは自分の良さに気づいていないだけかもしれませんよ、と。大根おろしはトマトではできませんし、刺身のツマもトマトには無理です。トマト鍋も美味しいですが、おでんにはやっぱり大根!という方が多いことでしょう。大根にも、トマトにも、かぼちゃにも、ピーマンにも、なすにも、じゃがいもにも、キャベツにも…それぞれ「持ち味」があり、「活かし方」があるのです。
 ただ、トマトは収穫して水洗いすれば、すぐに食べることができますが、大根はそうはいきません。大根やごぼうは畑から収穫しただけでは、土がついていて料理には使うことはできません。この「土を落とす作業」を「性格を変える」「性格を直す」ことだと思っているのであれば、私も賛成です。「ありのままの自分でいい」ということと、「土だらけの自分のままでいい」ということは違うからです。本来の自分の良さを否定し、別の人間に生まれ変わりたいということと、本来の自分の良さを取り戻すべく、土やドロを落とす作業を続けることは全く別のことです。
 自分の良さを再認識し、自分とはどんな人間か、何ができる人間か、どういうところで活かされる人間か、それらに気づくためにこの世界にはいろいろな人がいるとも言えます。人にはそれぞれいろいろな性格、価値観、考え方がありますが、いろいろな人がいてこそ、世界が彩り豊かになるのだと思います。いろいろな野菜の良さを見つけるように、自分の良さを見つけてみるのはいかがですか。


2021年・11月号

11月号を掲載しますのでご覧ください。11月号は、佐藤弘子先生、吉田昌宏先生、片山昇先生からのメッセージです。

〇〇トッツォ 人間科学部心身健康科学科 佐藤弘子

 今年スウィーツ界を席巻したイタリアのデザートといえば、「マリトッツォ」でしょう。
ブリオッシュの横から切れ目を入れて、その間にこれでもかってくらいの生クリーム。
イタリアの詩人が「健康を代償にしても食べたい!」と言ったとか言わないとか・・・。
お気持ち、よ~く分かります。

 先日、ネットニュースで「はぎトッツォ」なるものを見かけました。
「おはぎ」の横から切れ目を入れて、その切れ目にたっぷりの生クリーム。
福岡のスーパーで誕生し、すごい人気らしいです。
色々調べてみると、出るわ出るわ「〇〇トッツォ」!!

メロトッツォ
  ブリオッシュの代わりにミニメロンパンを代用。
ケロトッツォ
  「かえるまんじゅう」の横から切れ目を入れて、クリームイン!
すしトッツォ
  球体の酢飯を海苔で巻いて横から切れ目を入れて、生クリームの代わりにたっぷりのネギトロ。ネギトロの表面には刻み葱をあしらっています。
肉トッツォ
  ハンバーガーのバンズにたっぷりの牛肉コマ切れ炒め(味は甘辛の醬油味と想像)、もしくはミニサイズのステーキを挟んで。

 もう、すしトッツォ、肉トッツォとなると、もはやスウィーツでも何でもありません。
しかも、肉トッツォなるものは、どちらかというとハンバーガー寄り?
日本らしいクリエイティブな魔改造に笑いが止まりませんでした。
皆さんもぜひ「〇〇トッツォ」で画像を検索してみてください。
このコロナ禍の折、ちょっとほっこりした気分になれますよ!

科学を学ぶ大切さ 人間科学部心身健康科学科 吉田昌宏

 2021年8月、千葉真一さん(本名、前田 禎穂)が新型コロナによる肺炎でお亡くなりになりました。ここに謹んでご冥福をお祈りいたします。私は世代ではないのですが、千葉真一さんの大ファンで、作品を多く購入してきました。
 「仁義なき戦い」「地獄拳シリーズ」「魔界転生」「戦国自衛隊」「里見八犬伝」「影の軍団シリーズ」等々…多くの名作を遺されました。中でも「影の軍団シリーズ」は好きなエピソードは20回は繰り返して視聴するほど好きな作品です。その千葉真一さんが作られたジャパンアクションクラブにかつて所属されていた大葉健二さんという役者さんも大ファンで、初めて芸能人からもらったサイン色紙は大葉健二さんのサイン色紙でした。
 千葉真一さんを始め、ジャパンアクションクラブに所属されていた俳優さんの魅力は、スタントを使うことなく自分の肉体でアクションを演じられる所にありました。演技だけでなく、格闘技・アクションも学ばれているため、アクションシーンの迫力が、他の俳優さん達とは全く異なるほど、魅力に溢れていました。しかし、残念ながら新型コロナによる病にてお亡くなりになりました。
 生前、ハリウッド進出を夢見られていたため、80歳を超える高齢ながらも身体を鍛えていたため、新型コロナのワクチンを打たなくても自分は罹患しないと思われ、民間療法も行われていたそうです。ここで、ご自身の体力や民間療法を過信することなく、科学的な知見に従いワクチン接種をされていたら新型コロナで亡くなることはなかったのではないかと思うと非常に残念です。そして常日頃、科学に触れている研究者として、多くの人にわかりやすく最新の知見を伝えていく大切さというのを痛感しました。ご冥福をお祈りします。


あなたは、今の自分に『誇りと自信』をもっていますか?
人間科学部心身健康科学科 片山 昇

あなたに問います!
今のあなたの誇りは何ですか?
あなたは、今現在の置かれている立場に誇りをもっていますか?
あなたは、自分自身に対して誇りをもっていますか?

あなたは、自分の目標達成に向けて、懸命な努力の前に「どうせ無理!」と半ば諦めてはいませんか?
あなたは、努力をしない理由を「学校や仕事、家庭、あなたの置かれているせい」にしてはいませんか?
それは、今の自分自身を否定していることにはなりませんか?

あなたは、自分で立てた目標から、努力の前に逃げたりはしていませんよね!?
目標を立てたのはあなたですよね!?
目標から逃げるとしたら、それはあなたからですよね!?
目標が勝手に逃げたりはしませんよね!?

今の置かれている場所、立場で、精一杯あなたの花を咲かせてください!
その咲かせる花の一番の原動力は、『あなたの誇りと自信』なのです!
「置かれた場所で咲きなさい」というベストセラーになった著書でも岡山県ノートルダム聖心女子大学の学長を務めた故渡辺和子先生も言っています。
あのSMAPが歌ってヒットした「世界に一つだけの花」という歌もあるじゃあないですか。

あなたは、まぎれもなく一人の支え支えられている大切で尊い存在なのです。
あなたは、将来何をもって世の中に生き抜いていきますか?
あなたより知識も豊富で、洞察力もあり、人と信頼関係を築いていく人は山ほどいます。
いつだって、あなたの代わりが利くんですよ。しかもあなたよりもずっと有能な人ですから。
でも、あなたという人は、世界にあなたしかいませんよね!?
「あなたという人」は、決してあなたの代理を務めることなんて、誰にもできないのです。

あなたは、周りの人たちにとっても、かけ替えのない存在なんです。
「あなたという人間」、「あなたという誇りと自信と存在」を一番大切に生き抜いてほしい!


2021年・8月号

8月号を掲載しますのでご覧ください。8月号は、島田凉子先生、藤原宏子先生、矢島孔明先生からのメッセージです。

オリンピックに寄せる願い 人間科学部心身健康科学科 島田凉子

 緊急事態宣言下のオリンピックが始まりました。
 このオリンピックは、コロナ禍によって延期されただけでなく、新国立競技場、エンブレム、開会式などをめぐるごたごた、差別発言、感染防止対策の後手後手などなど、うんざりするほど日本社会と政治の抱える問題や矛盾が噴出しました。まるで、ありとあらゆる災厄が飛び出したパンドラの匣を開けてしまったかのようでした。
 そのため、私も複雑な思いのままテレビで開会式を見ていたのですが、入場行進で、紛争地域や経済的に余裕があるわけではない国々から来た代表選手たち、そして難民選手団の姿に引きつけられました。彼らは自国に帰ったらどんな生活が待っているのだろう?安全に暮らしていけるのかしら?・・・そんなふうに彼らの身を案じる思いをもったのは私だけではないでしょうし、世界中に友達がいれば世界中が平和であってほしいと切に願うようになるはず・・・平和の祭典と言われるオリンピックが開かれる意味はそんなところにあるのでしょう。
 メインイベントである聖火リレーで、リハビリ中の長嶋茂雄さんの姿に涙し、人種差別に明確にNOを表明し、嫌なものは嫌だと発言することで世界に影響を与えつつある大坂なおみさんが最終ランナーとして聖火台に点火する姿に、新鮮なものを感じました。
 パンドラの匣に最後に残ったのは「希望」でした。そのように、このオリンピックが世界をより安全で平等で自由な場所にすることに、あるいはそうした希望の光を人々が抱き続けるために少しでも貢献することを願います。

世界で一番   人間科学部心身健康科学科 藤原宏子

 東京オリンピック・東京2020が始まりました。この暑い東京で、アスリートたちが世界1位を競っています。オリンピック開始の少し前に、NHKスペシャル「超人たちの人体 〜アスリート 限界への挑戦〜」が放映されましたが、皆さんはご覧になられたでしょうか?私はNHKスペシャル「人体」のシリーズが大好きですが、今回も大いに楽しみました。
 統合Ⅱ(「生命と健康」のシステム)の科目「身体の構造と機能」を担当していて、ちょうど「呼吸器系」を見直していたところでした。そこで、競泳世界選手権6冠を達成したケレブ・ドレセル選手の無呼吸泳法についての部分が印象に残りました。疲れの出るレース終盤で、あえて息継ぎをしないことにより世界記録を更新できたというのです。「身体の構造と機能」のテキストには、通常の呼吸運動時に働く呼吸筋は外肋間筋と横隔膜とあります。ドレセル選手は特殊なトレーニングを行うことにより、深呼吸などの際に使われる胸鎖乳突筋を発達させ、短時間にたくさんの酸素を取り入れることができるようになったそうです。息継ぎの際、より効率的に酸素を取り込むことが、無呼吸泳法に役立つということでした。
 酸素を効率よく取り入れる。ドレセル選手もすごいですが、世界最高峰エベレストを含むヒマラヤ山脈を超えるツルがいて、そのツルの呼吸もすごいことをご存知でしょうか?高度8000mの環境というのは、気温が-40℃という極寒で、酸素濃度は地上の1/3しかありません。そんな高地を飛ぶことができるのです。そもそも、鳥類の呼吸器系は私たちヒトとは異なる特徴があり、酸素を効率よく取り入れることができます。それに加え、ヒマラヤ山脈を越えるツルは、赤血球のヘモグロビン(酸素の運搬に関わるタンパク質)が特殊な構造をしています。
 オリンピックをきっかけに「世界で一番」に思いを巡らせました。皆さんは何を感じたでしょうか?

不安や恐怖を解きほぐすために 人間科学部心身健康科学科 矢島孔明

 新型コロナウイルス感染症が再び流行し始めています。かなり長期戦の様相を呈して、疲弊も見られ始めています。最低限の行動を、と言いつつも、動く衝動を抑えられなくもなりますが、またもう一方で動くことで感染にするかもしれないという不安や恐怖も感じます。このような状況の中でどのような選択をしていくのか、人間というものの本質が見えて来るところかもしれません。
 このような不安や恐怖は目に見えないものであり、押しつぶされそうになることも多々あります。単に目の前にある出来事に対してだけでなく、将来の自分のことや、他人の事のような対人的なこともあれば、金銭的なところもあるかもしれませんし、ライフステージにおける特有の事象があるのかもしれません。誰でも一歩間違えれば自分も乗り越えられなくなるものかもしれません。
 最近読んだ本ですが、台湾でIT担当相として活躍しているオードリー・タンが育った学苑は、自由だったようです。通常の学校ならば、この科目を学びなさい、こうしてはいけませんという規則がありますが、この学苑では、何を学ぶのか先生と一緒に考えたり、もめごとがあると関係者をみな呼んで話を聞いてみなで考えたりすることで規則ができるようです。なぜこのことを学びたいと思うのか、学ぶためには何をしたらいいのか、また、もめごとは自分勝手で起こっているのか、どうしようもなく起こしているのか、子どもも一緒に、細かいことまで、いちいち、いろいろなことを、いろいろな立場で考えて、決定していくそうです。その過程で、何も手を出していなく別の人を使って相手を挑発した子どもの存在にも気が付き、ずるさのない妥当な判断をしていたようです。子どもを上手く育てられるか不安や恐怖の先生や親も、子どもの成長に自身も別の価値観を持つことができてきたようです。
 親の不安や恐怖が子どもに伝わり、子どもの行動に影響を及ぼしているという話をしているものでしたが、不安や恐怖は偏見や差別を生み、知らぬ間に偏見や差別が親だけでなく子供にも身に付つくことにもつながる、というものでもありました。
 一つの考えに固執せず、多くの考えを知っている多様性の思考が、自分や大切な人の身を守る時代になってきているのかもしれません。人間を総合的に知っていくこと、心身のつながりの仕組みを理解していくことが多様性の理解へと進み、不安や恐怖の中でも正しい認識をもたらす大きな力になってくるものと信じます。


2021年・5月号

5月号を掲載しますのでご覧ください。5月号は、鈴木はる江先生、小岩信義先生、谷本伸男先生からのメッセージです。

コロナ禍に左右されない学修を 人間総合科学大学副学長 鈴木はる江

 新入生の皆様,ご入学おめでとうございます.在学生の皆様には,新年度を迎え気持ちを新たに学修に取り組んでおられることと思います.
 2021年の春も昨年同様,全国で新型コロナウィルス感染への予防に追われる状況が続いており,このような事態になってまる1年が経過したことを実感しています.本学では4月4日に新入生のみ参加の入学式を短時間で執り行いました.新学期の授業も三密を避け,感染予防対策を行い,オンライン授業も取り入れつつ行っています.
 通信制の心身健康科学科は,もともと通学せずに自宅で学べる学修システムで取り組んでいただいており,この新年度も例年同様に新入生や在学生の皆様は,インターネット学修システムのUHAS@マイキャンパスを通じて,質問や相談を次々とお寄せくださっています.順調に通信での学修がスタートあるいは継続していることが伺えます.
 本年度は,さらにオンライン授業コンテンツの改善やテキストの改訂など,より興味深く意欲をもって学修に取り組める教材の充実化に取り組んでいきます.質問箱では,いつでも気軽に質問や学習相談ができます.学生の皆様には,マイキャンパスをフルに活用して,コロナ禍の中でも安心して安定して学んでいってください.そしてこのような通信制教育の特徴を多くの方々に体験していただきたく,本学の教育をさらに広めていく活動にも取り組んでいきます.

「人間」を総合的に学ぶあなたのその決意が
ネクストノーマルの時代を創る
人間科学部学部長・心身健康科学科学科長 小岩信義

 新年度を迎えて、それぞれの新しい環境での学修がはじまりました。新入生のみなさん、心身健康科学科へようこそいらっしゃいました。教職員一同、心より歓迎いたします。

 パンデミックで一変した景色の世界で、私たちが生活するようになってから1年以上経ちました。日本の対策、対応は諸外国に比べると相変わらず出遅れている感があります。それでも終息後の生活や人生について、そろそろ真剣に考えてみてもよい時期なのだと思います。予想外に長く続くこの事態は、わたしたちが今まで先延ばしにし、見て見ぬふりをしていた様々な「宿題」について、一人ひとりがじっくりと考えみなさいと神様が時間を与えてくれているのでは?と最近よく思います。

 SDGs(持続可能な開発目標)を通して、環境破壊や人権問題、貧富の格差などにどのように向き合うか?COVID-19の感染拡大のコントロールと経済活動とをどうのように両立させるか?SOCIETY5.0を迎える社会で、テクノロジーとどのように共生するか?どれも何が正解なのか、誰にもわからない問題ばかりです。ただ私たちに問いかけられていることは、人間とは?生命とは?健康やよりよい人生とは一体どのようなものなのか?という共通のテーマのようにも思います。本学の学びで修得する科学的な観点から粘り強く考え続ける姿勢と、諸課題を「こころ」、「からだ」、「文化・社会」の視点から分析し、統合する力は、これらの課題を考える際にとても強力なアプローチのように思います。

 私たちの心身健康科学科には、このような課題に向き合おうとする決意を持った多くの学生が、日本、世界各地から学んでいます。学科創設以来、学生みなさんの多くは家庭や地域社会、企業、医療、教育などで活躍されている社会人の方々です。ここ数年は通信制という学修スタイルを活かして将来の自分の夢の実現に向かって活動する高校を卒業したての若い方々も入学する機会が増えています。人間総合科学大学を選んだ皆さんの選択に間違いはないと言ってよいでしょう。

 新しい年度も本学での学修を思う存分楽しんでください。不自由な生活はもうしばらく続きそうです。今は大学での学びに集中して、しっかりと力を蓄えていきましょう。ネクストノーマルの時代を如何に生きるか? 皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

AI・データサイエンス教育 人間科学部心身健康科学科 谷本伸男

 本学では、2020年度よりAI・データサイエンス・リテラシー教育プログラムを開始しました。このリテラシー教育は、生活や職場で現在急速に進みつつあるAIやデータ分析の利活用の流れの中で、10年後の社会で日常的に利用されるAIやデータサイエンス技術の知識を習得し、次世代でこれらの技術を活用する知恵を育むためのプログラムです。

 次世代への対応として文部科学省は、2019年の政府による「AI戦略」に基づき、2020年からリテラシーレベルのモデルカリキュラムや数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度など設定し、2025年までに大学の文系・理系を問わず、全学部でのAI・データサイエンス人材育成の必修化の取組を公表しました。

 本学のAI・データサイエンスのリテラシープログラムは、基礎的な知識である「導入・心得・基礎リテラシー」の3つのレベルをAI・データサイエンス入門、情報処理(コンピュータ入門)、統計学の講義で提供し、AIやデータサイエンスの利用の「意義」を「楽しく」習得できるように構成しました。また各講義科目では、現在利用されているAIやデータサイエンスの状況を動画や画像で紹介し、データ分析の演習では実社会データに近いデータを用いデータ解析の実務を分かりやすく演習できるように配慮しています。


2021年・2月号

2月号を掲載しますのでご覧ください。2月号は、吉田浩子先生、朴峠先生からのメッセージです。

「鬼滅の刃」・・人と鬼の違いを考えてみた 人間科学部心身健康科学科 吉田浩子

  コロナ禍の中、昨年から通学制でもライブのオンライン講義が始まりました。対面講義より容易に受講生との双方向性が確保され、大人数の対面講義では難しかった個々のニーズに即した関わりができてとても嬉しかったです。
  その中で、多くの学生さんから「鬼滅の刃」を強く勧められ、久しぶりに漫画を読み、アニメを見ました。様々な人がこの漫画について言説を展開し、この漫画を題材に授業を展開した高校もあるそうです。確かに誰もが何かを考えたくなるお話で、いのちや倫理を考える講義で使ってみようと思えます。
  ご承知の方も多いかと思いますが、このお話は、人を食べる鬼を「鬼殺隊」の剣士たちが倒していくダークファンタジーです。その中に様々な命題を見出し、考察することが可能ですが、そのうちのひとつをご紹介しましょう。鬼も元は人です。勧善懲悪的な視点ではなく俯瞰的にこの物語を見渡す時、人と鬼は何が異なるのだろう、という大きな疑問が生まれます。多くの鬼は私利私欲のみを追求する粗暴な姿に描かれていますが、「鬼殺隊」側にも最終決戦を前に自分の妻子のいのちを犠牲にする者が登場します。妻子の自律や自己決定といった視点はそこにはありません。どちらも自分が「正しい」と信じるものに対して恐ろしく素直に振舞っているように見えるのです。それらを私たちの「内なるもの」として捉えるのであれば、現実の世界では、私たちはどちらの性質も持ち合わせた統合体としてここに在るのかもしれません。
  このように、オンライン講義で受講生から教えてもらった漫画を通して、様々なことを考え、楽しくわくわくと刺激的な日々を過ごせたことは大きな喜びです。新型コロナウィルスの感染拡大は本当に困ったことですが、大変だからこそ、日々の痛みではなく、小さな楽しみや喜びを大切に抱きしめて過ごすこともまた、本学が標榜する「より良く生きるための知恵」のひとつではないかと思うこの頃です。

ささやかな楽しみから気づくこと 人間科学部心身健康科学科 朴峠周子

  私たちの日々の生活習慣や行動そして考え方にも少なからず変化が生じ、はや1年が経ちました。皆さんが公私にわたってそれぞれのお立場にてご尽力なされていることと拝察いたします。一方で、それぞれに新たな楽しみを見つけたり、今までできなかったことに挑戦したり、明るい変化もあったことと願わせていただきます。
  私は、日本の昔話や古くからある絵本を読むことが日々のささやかな楽しみとなっています。そのような折、ふと、物語に登場する食べ物について考えたことがあります。たとえば、桃太郎が携えた“きびだんご”は穀物のキビが主原料とされています。キビは白米に比べ、マグネシウム、鉄、亜鉛などが多く含まれています。おじいさんとおばあさんがなぜ桃太郎にきびだんごを持たせたのか、そのゆえんは歴史やそれにもとづく推測により諸説ありますが、遠征の兵糧であったとされています。また、モチモチの木(栃の木)を怖がっていた豆太の好物である“とちもち”は、栃の実を用いたお餅です。元来、栃の木の樹皮や種子は民間薬に用いられており、栃の実の成分もまた機能性を有しているとされています。おそらく、”きびだんご”や”とちもち”は、当時の庶民にとって大切な食であったのだろうとも推測できます。
  現代のような医学的知識や技術が至らなかった時代にも、人々は食物の特長を活かし、日々の食生活ひいては健康を養っていたように思います。改めて、私たちの食卓にのぼる食物それぞれに目を向けると、自分の健康状態に改めて気づくことがあるかもしれません。あるいは、感染症とともにある私たちの日々に不可欠となっている科学技術や様々な研究成果にも関心が向けられるかもしれません。私は、ささやかな楽しみから新たな気づきを得るとともに、物事を考える視野が広がるように思いました。


2020年・11月号

11月号を掲載しますのでご覧ください。11月号は、矢島孔明先生、萩原豪人先生からのメッセージです。

本学心身健康科学科で学ぶこと 人間科学部心身健康科学科 矢島孔明

 みなさん、こんにちは。心身健康科学科の矢島です。本学科の特徴でもあるセメスター制として、秋期にご入学されたみなさま、ご入学おめでとうございます。本学で行いたいこと、学びたいこと気持ちに満ち溢れているところと思います。現在の多様な社会では、それぞれの境遇のなかで必要となる学びを、ご自身のスタイルで進めていけることがスタンダードになりつつあります。本学では通信制ではありますが大学として先駆して実施してきています。ぜひ本学で学びの中で実践していっていただけたらと思います。
 さて、みなさんは人間総合科学大学という大学に入学され、また学びを続けているところと思います。では、大学では何を学ぶところでしょうか。明治時代に大学が出来たころには、西洋文化に追いつくための機関として、科学技術、思想、国を作る人材の産出を機能としてきました。戦後、新制大学が出来、現在に至っては数多の大学が存在します。その変化は特に近年、一部の人が専門的な研究を行う大学の意義から、多くの人がそれぞれの力を高める機関として大学での学びの意味が見直されてきています。専門的な研究から見出されてきている事象を、個々の人間が実際に生きるための考えとして使える力(コンピテンス)に変えていくこと、つまり生きる力の獲得も、実践的な学びの一つとして重視されてきています。
 特に本学では、人間というものの根本にあるこころとからだ、文化という学術的に複数の専門性を理解していきながら、卒業までに先ほどの生きるためのコンピテンスを得られること、そして卒業後も常日頃から醸成していける考えを身に着けていっていただきたいと思います。それには、自分の殻の外側にある一歩外の世界に目を向けて、新しい世界を感じて考えていきましょう。もし、不安だったり道に迷ったりしたら本学には頼りになる先生方、事務局の方と一緒に進んでいきましょう。心身健康科学という人間を知る術を手に入れて、自分だけでなく周りの人とともによりよく生きること(well-being)が実現できる空間を作り、幸せを感じる瞬間を共有できる方が増えると社会も少しずつでも変わってくるのではと、ここのところ常に感じています。

たくさんの「ストレスコーピング」を使いこなしましょう!
人間科学部心身健康科学科 萩原豪人

皆さまは、このコロナ禍にストレスをためていませんか?いつものストレス発散の方法が、飲みに行く、旅行に行く、カラオケをする、ライブに行く…等々の方は、今年は制限されることが多く、特にストレスがたまり易いと思います。
 ストレスを引き起こす外部要因(ストレッサー)が同じでも、心身のストレス反応がどのように出るかは大きな個人差があります。その違いを説明するものの1つが、「コーピング(対処方法)」です。皆さまは、ご自身のコーピングをいくつ挙げられますか。私の例を挙げると…
・寝る ・長風呂に入る ・酒を飲む ・駄菓子を食べる ・音楽を聴く ・映画を観る ・お笑い番組を見る
・散歩する ・キャンプに行く ・人に愚痴を言う ・考え方を変える ・あきらめる ・1回放置する
・ぼんやりする ・逃げる ・忘れる …等々。
 コーピングのレパートリーは、多いに越したことはありません。100個以上持っているとよいとも言われています。コロナ禍で、お家でできる新しいコーピングを開拓した人も多いかもしれませんね。私は、自粛期間中に、ベランダでキャンプをやる“ベランピング”というのを家族でやってみました。意外と盛り上がりました。コーピングは、その時の気分やかけられるコスト(お金や時間など)に合わせて、意識して最適なものを選べると理想的です。ストレスを感じている時は、コーピングも思いつきにくくなるので、私は携帯電話のメモ機能にリストを作っています。いつでも参照して、すぐ使えるのでとても便利です。
コーピングの中には、酒、買い物、ギャンブルなど、やり過ぎると悪循環を起こし、場合によると依存と言われる状態になるものがあります。寝る、食べる、逃げる、忘れるなども社会的に許される範囲というのがあるかもしれません。長い目で見たときにマイナスを生じるコーピングを使い過ぎていないか、自己チェックしつつ、ほかの方法とバランスを取りながら使えるとよいですね。
 また、コーピングには、問題解決に積極的に取り組むなどの「問題焦点型コーピング」と、気晴らしをして不快な感情を解消するなどの「情動焦点型コーピング」があります。人生には、真剣に取り組んでもすぐには解決しない問題もあり、どちらのコーピングが有効かを見極め、両者をうまく組み合わせながらストレスに対処していけるとよいですね。私も日々自分のコーピングを振り返りながら、心身の健康を保ちたいと思います。


2020年・8月号

8月号を掲載しますのでご覧ください。8月号は、小岩信義先生、鍵谷方子先生、庄子和夫先生からのメッセージです。

能動的にボーっと過ごすことの大切さ 人間科学部心身健康科学科学科長 小岩信義

 「ボーっ」と考えごとをしているときに、私たちの頭の中がどのような状態になっているかをご存知でしょうか?私の専門となります脳科学、神経科学の進展によって、この一見「何もしていない」ときの脳活動やメンタルヘルスとの関係が明らかになりつつあります。
 私たちの大学には「人間総合科学 心身健康科学研究所」という附属の研究所があります。「ストレスと健康」などのスクーリング授業では、実際に研究所の機材を受講生のみなさんに装着して、ご自身のストレス反応を観察していただいております。コロナ感染のため、ここ数か月は研究所への学生、大学院生の立ち入りが制限されていますが、普段私たちの研究所では脳波やfMRIなどのデータを基に、人間のこころが生まれるしくみを探っています。最近では、数理統計を活用した解析手法が進展することによって、より人間らしい「こころ」の実態に迫ることができるようになってきました。
 従来からおこなってきた、外界刺激に対して私たちの脳がどのような処理をおこなっているのかという認知処理過程を探究することも大変興味深いテーマですが、冒頭にあげたような一見何もしていないときに脳はどのように働いているのか?この点については未知の領域であり、私たちの好奇心を掻き立てます。私たちの大学の研究所でも、意識や注意が外界ではなく、主に自己中心に向かっている際の心的活動を反映した脳内ネットワークの抽出に成功しています。このネットワークは、内側前頭前野、楔前部/後部帯状回などによって構成され、「自己参照」に深くかかわるDefault Mode Network(DMN)と一致していることがわかりました。
 「自己参照(self-reference)」とは、内的な思考過程、つまり内省や過去を振り返ったり、未来のことを予想したりしている心的プロセスです。この状態は、意識や注意の対象が外界に向かっているときとは対極にあり、「自己にとらわれている」状態とも言えます。まさに「ボーっ」と考え事をしているときの脳の状態になりますね。DMNの活動は脳のエネルギー消費の60-80%を占めると考えられており、DMNの過活動は心的疲労やうつ状態にも深く関与すると考えられています。我々は現在、DMNの自己調整機能の向上(enhancement)を目的とした脳機能訓練法(ニューロメディテーション)を開発し、質問紙や他の生体信号(心電図、皮膚温)、バイオマーカー(尿、唾液、血液中の生理指標)などのヘルスデータとあわせることで、個人のメンタルヘルスマネジメントに応用する可能性を探っています。
 いかに能動的に「ボーっ」と生きるか? なんだか変な表現ですが、私たちが幸せに生きてゆくために、このことをよく考えてみることには大切な意味があるようです。自分の外に幸せを求める生き方でなく、自分の内面を探究して幸せになるヒントを考えていくこと、さらに心身健康科学を学ぶみなさんは、DMNと幸福感や心身の健康との関係について現在の科学的知見を整理し、この脳内ネットワークを自己調整する方法の実態や可能性などについて考えみるとは、大切な意味をもっているようです。みなさんも総合演習のテーマとして、「自己」を感じることは、健康にとってどのような意味をもっているのかを考えてみませんか?

心身健康科学の学びを活かして「新しい生活様式」について考える
人間科学部心身健康科学科 鍵谷方子

 日常生活様式が一変しました.大小様々の多くの課題・懸念がありますが,運動不足も話題にのぼる事の一つです.私自身も運動不足を感じている一人で,「新しい日常」の中で,新しいライフスタイルの構築をしている最中です.とはいえ,緊急事態宣言が解除されて以降の仕事に関連した部分では,蜜を避けるためにエレベーターやエスカレーターの使用が大幅に減ったり,1駅くらいなら歩くようになったり等で全体量としては意外と変化ないようです.プライベートの部分での活動量を増やすスタイルの模索中です.
 身体不活動は,生活習慣病の発症の危険因子であるばかりでなく,死亡リスクとしても,日本では第3位に挙げられています.もともと,私たちは便利な生活の中で運動不足が言われていましたが,それは大人だけではなく,子どもにも及んでいます.昨年発表されたWHOの調査1)によると,世界の青少年の5人に4人は運動不足とのことで(146カ国,11~17歳の生徒160万人,2001~2016調査),早期の対策が必要とされています.「新しい生活様式」が日常化する中,活動量を増やす取り組みが,これまで以上に求められていると思われます.
 運動の実施や活動量を増やすことの効用としては分子レベル,器官レベル,個体レベル,集団レベルの様々な面で示されています.本学で学ぶ私たちに関心が高い心身両面に対する効果についてもよく知られています.健康寿命の延伸の観点からは,介護が必要となった主な原因2)の上位を占める大部分(認知症,脳血管疾患,骨折・転倒,関節疾患など)は運動の有効性が示されています3).
 私が以前より関心をもっているのは,特に脳への効果です.脳に酸素や栄養を運ぶ血流は,脳が正常に機能を発揮する上でとても重要です.数分間血流が途絶えただけで脳の神経細胞には不可逆的な障害が起こります.そして,脳の中でも思考や言語,認識,判断,学習などの人間が人間らしさを発揮する上で重要な高次脳機能を司る大脳皮質や海馬の神経細胞は,特に血流不足に脆弱と言われています.
 その大脳皮質や海馬の血流が歩行によって増加することが若いラットを使った実験で明らかにされています4).大脳皮質や海馬の血流を測定しながらラットを30秒間歩かせると,歩行中に大脳皮質や海馬全体で血流が増加します.歩く速度は,普通でも,普通の1/2にした場合でも,2倍にした場合でも血流が増加することが海馬で確かめられています.つまり特別に早く歩かなくとも散歩程度のゆっくりとした歩行でもよいようです.さらに海馬についての実験は,老齢ラット(ヒトで約70歳に相当)でも行われていますが,老齢ラットにおいても若いラットと同様に血流が増加することが明らかにされています4).
 ところで皆さんは,「心身健康アドバイザー」という称号をご存知ですか?本学と関連する日本心身健康科学会が認定する称号で,本学でみなさまが学ばれている必修科目等が所定カリキュラム5)6)となっているため,取得を目指しやすい称号です.本稿の余談ではありますが,大学の学びを称号取得へと結びつけることは卒業後の活躍にも繋がりますので,お勧めしたいところです.日本心身健康科学会では,心身健康アドバイザーの方に向けた講習会が年2回開催されています.来月9月13日(日)にオンライン開催される講習会のテーマは,『動きの中のこころとからだ』とのことです.運動不足が懸念される今にぴったりです.既に心身健康アドバイザーの学生の皆さんは,ぜひご参加ください.

1)Guthold R et al: Lancet Child Adolesc Health 4(1), 23-35, 2020.
2)厚生労働省:平成30年版高齢社会白書.2018.
3)澤田泰弘:実験医学 37(8), 1220-29. 2019
4)堀田晴美,内田さえ:MB Med Reha 140: 13-20, 2009.
5)人間総合科学大学:学生生活の手引.p39-40
6)日本心身健康科学会ホームページ:https://jshas.human.ac.jp/
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※「心身健康アドバイザー」称号取得にご興味をお持ちの方へ:認定試験が2020年度は9月5日・6日に実施されます.申込期限は8月20日です.受講資格・申込方法など,詳しくはこちら

新型コロナウイルス感染症の時代と日々の生活について思うこと
人間科学部心身健康科学科 庄子和夫

 長く鬱陶しい梅雨が明けたと思ったら、いきなりの猛烈な暑さの日々が続いて居ていますが、皆さんはいかがお過ごしですか。このような気候の中、今もって相変わらず新型コロナウィルス蔓延の状況は続いており収束の様子はみられません。東京をはじめ各地方都市でも多くの感染者の情報が日々更新されています。この新型コロナウィルスに関しては情報が錯綜し、デマも多く流れました。例えば、沢山の熱い液体(コーヒー、お茶など)を飲むなどです。これらの効果には科学的な根拠はなく、真偽は定かではありません。また新型コロナ感染時に解熱薬としてイブプロフェンの服用は避けアセトアミノフェンの服用が勧められたことがありました。WHOもそれを推奨しましたが、後に取り下げています。新型コロナに関しては様々な情報が交錯していますが、私たちはその中から何が正しいのかを見極めて行く必要があります。やはり情報リテラシーを身につけて科学的な根拠がある情報を取捨選択する必要があります。これからも様々な情報が出てくると思いますが、根拠のない情報に惑わされることの無いよう日々を大切に生活していきたいものです。


2020年・6月号

6月号を掲載しますのでご覧ください。6月号は、鈴木はる江先生、三橋真人先生、鮫島有理先生からのメッセージです。

通信制大学で学ぶ特徴を活用しよう 人間科学部学部長 鈴木はる江

 2020年の新年度は,新型コロナウィルス感染予防対策で全国の大学において入学式中止,授業の開始の遅れ,オンライン授業への変更と対応に追われてきました.人間総合科学大学は2000年に通信制の私立大学として人間科学部心身健康科学科が開学し,その後は通学制の学部学科を増設して現在に至っています.通信制の心身健康科学科は,多彩なテキスト履修やオンライン授業のコンテンツを揃え,インターネットでの試験やレポート提出と,全て自宅で効率的に学修できる仕組みを整えてきました.
 こうした通信制の学習はご自身のペースでいつでも学修できるメリットがある一方で,学生の皆さんは孤立しがちです.本学では,学生がいつでも担任や科目担当教員へポータルサイトやTV会議システムを介して質問・相談できる仕組みも整え,学生各人の学習をサポートしています.このコロナ禍の中,多くの学生さんがこの学習システムを活かして着々と学習を進めている様子がポータルサイトでのやり取りから伺え,教員として嬉しく思うとともに学生さんの学習意欲に励まされております.このような事態だからこそ,通信制大学の特徴を生かした学修の場を滞りなく提供できていることを再確認し,さらなる教育の充実化に取り組んで行こうと気持ちを新たにしているところです.
 この困難な状況の中,インターネットを活用したコミュニケーションやテレワークが広く推進されています.人間総合科学大学の教職員は,通信制教育の重要性を改めて再認識し,さらなるカリキュラムやシステムの充実化を図っていかなければと一丸となって取り組んでいる状況です.学生の皆さんと一緒にこの状況を乗り切っていきたいと切に思うこのごろです.

よろしくお願いいたします! 人間科学部心身健康科学科 三橋真人

 今年度より、人間総合科学大学で教鞭をとることになりました、三橋真人と申します。よろしくお願い致します。
 早速ですが、私の研究テーマをちょっとだけ紹介します。私の研究テーマは「笑いと免疫力の関係」です。実は、「笑い」には免疫力を高める効用があると言われている。「笑い」がストレスを解消し、病気を遠ざけることが様々な研究で明らかになりつつあります。免疫力を高めることから、生活習慣病の予防にも役立つのではないかということで、注目を集めています。また、わが国の抱えている課題は少子高齢化ですね。その中でも、高齢化にともなう医療費の増大に、国は頭を抱えています。
 現在の笑い研究では、性別によっても「笑い」には違いがあり、「声を出してよく笑う」を性別でみると、男性40%、女性60%で、女性のほうがよく笑うことが分かっています。 
 さらに、年齢とともにストレスが増し、笑えなくなると指摘されています。「よく笑う」は30代が65%、40代が50%、50代が45%と徐々に「笑い」が減っていくのです。
 なぜ年齢を重ねるにつれて笑わなくなるのかは、ストレス説が有力です。年齢とともにストレスが増え、笑えなくなると考えられています。ただし、人生で最もストレスが多いのは30代、40代と考えられるので、60代、70代のほうが「笑い」の回数が少ないことから、ストレス以外の要因も大きいのではないかとの見解もあります。ストレス以外の要因について着目する見解としては、脳機能が「笑い」と関連しているという説があります。ただ、「笑い」により脳機能が高まるのか、脳の認識機能が高いことから「笑い」が促されるのか、どちらが一体先なのかということについては、まだ解明されていません。
 「笑い」は、心の健康にも身体の健康にも有効性を持ちます。ヘルスリテラシーの効果を高めるために、笑い研究を進めることはわが国の医療費抑制につながるかもしれません。
 そんな研究をしています。興味のある方は一緒に学びませんか?

10年後、20年後はどんな自分ですか? 人間科学部心身健康科学科 鮫島有理

 2020年度は、世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るい、大変な幕開けとなりました。そのため、授業開始が遅れ、大学、大学院の授業もオンライン授業に変更して実施しています。

 私自身、獣医学科に入学・卒業以来、いくつもの大学、大学院に在籍してきましたが、大学生と大学院生の通算在籍期間が20年以上になることに気がつきました。社会人になってからも大学、大学院に通っていたので、「そんなに大学に行くなんて勉強が好きなんですね」と言われることが多くありますが、「勉強」という行為自体が特に好きだったわけではなく、興味のあることをもっと知りたい、深く知りたいと思った結果なのだと思います。そのように、好奇心の赴くまま、獣医学、臨床心理学、仏教学と分野の違う世界をのぞいてきました。
 その傾向は臨床心理士として心理臨床に携わってからも変わりなく、教育、医療、産業の領域の様々な職場で臨床経験を積ませていただくことになりました。そのおかげで老若男女の幅広い世代の方の様々な悩み、苦悩の一端を知ることができました。それは、自分自身の経験になっただけでなく、心理臨床家としてどのような方が相談にいらしても対応できるという自信につながったように思います。
 現在、世界では未曾有の事態が起きています。新型コロナウイルスと言われる未知のウイルスは未だ治療法も確立しておらず、ワクチンも作られていません。そのような感染症が世界中で感染拡大し、多くの死者、重傷者を出していますが、過去にもわが国では多くの死傷者を出した災害が起きています。阪神淡路大震災(1995年1月17日)の際は、多くの死傷者が出て、PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)という言葉が世に知られるようになると同時に、臨床心理士が活躍したことでも有名になりました。当時、私は「臨床心理士」の存在すら知りませんでしたが、そんな私が、東日本大震災(2011年3月11日)が起きた時には、臨床心理士となり、緊急派遣スクールカウンセラーとして被災地に派遣され、支援にあたることになりました。本当に人生というのは不思議なものだと思います。

 本学で学ぼうと思われた方、そして、このページを読まれている方は、きっと好奇心が旺盛で、やる気がある方でしょう。本学における「こころ」、「からだ」、「文化」を切り口とした様々な科目を学ぶことが、10年後、20年後に自分でも想像すらできないような未来への一歩になるかもしれません。外に目を向けると、先が見えず不安になることが多くあると思いますが、自分の内面に目を向け、知見を広げることはいつでも可能です。このような時だからこそ、自分の知りたいことや興味のあることを、好きなように、好きなだけ、打ち込んでみてはいかがでしょうか。教職員一同、皆さんの学修を応援しています。

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