お米を食べて健康増進

今回は梅國智子先生にお話をお願いしました。先生は、健康栄養学科で食べ物と健康の分野を担当しておられます。新形質米(従来の米とは大幅に異なった形質を持つ新しい米)の理化学的性質と食味特性についてや、女子大生の食事調査などの研究を行ってこられました。今回のコラムを読むと、梅國先生の健康美の秘密がわかりますよ!

梅國智子先生

 炭水化物(糖質)は太る。お米(ご飯)を食べると太りやすいという間違った考えをお持ちの方はいらっしゃいませんか?いいえ、決してお米そのものは太る原因にはなりません。お米の主成分はアミロース、およびアミロペクチンというデンプン(つまり、炭水化物)で構成されていますが、他の炭水化物を多く含む食品に比べて、お米は必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。また、米は粒食であるため、パンや麺に比べて十分な咀嚼(そしゃく)が必要になります。そのため米の消化・吸収は緩慢となり、インスリンの分泌をあまり刺激しません。また、お米そのものには塩分やコレステロールは含まれておらず、食物繊維と同様な働きをする難消化性デンプン(レジスタントスターチ)が多く含まれていますので、生活習慣病などの予防に有効であると言われています。


 私たちが毎日食べているお米の種類は、実にたくさんあります。コシヒカリ、ひとめぼれ、ササニシキ、ミルキークィーン、はえぬきなど、品種としても豊富ですし、無農薬、有機栽培といった栽培方法の違い、無洗米、普通精米といった精米方法の違い、栄養価を高めることを目的とした発芽米や発芽玄米、さらに各地方のお米が取り揃えられており、お米を買いに行くたびに何を買ったらよいか迷ってしまいます。皆さんはどのようなご飯が好きですか?私は軟らかくて粘りのあるご飯が好きです。なかには「粘りはあった方がいいけど、硬めが好き」という方もいますが、ご飯の官能検査をすると日本人の多くは「軟らかくて粘りのあるご飯」を好む傾向にあります。


 さて、多くの日本人に好まれるご飯の軟らかさや粘りは何が作りだすのでしょうか?それはお米に含まれるデンプンによるのです。お米には、たくさんのブドウ糖が棒状につながったアミロースと、枝分かれしながらつながったアミノペクチンと呼ばれる二種類のデンプンが含まれています。うるち米には約17%のアミロースと、約83%のアミロペクチンが含まれています。しかし、もち米にはアミロースは含まれておらず、ほとんどがアミロペクチンです。このアミロペクチンが餅に特有の粘りを作りだしているのです。ですから、うるち米の場合も、アミロペクチンの含まれる量が多ければ多いほど、粘りが出てきます。一方、アミロースを全く含まないもち米で作った餅や、赤飯などは、時間が経っても比較的軟らかく粘りがあり、日持ちしますが、うるち米で炊いたご飯は、1日も経てばすっかり硬くなりパサついて食べにくくなります。これは、うるち米に含まれているアミロースによってデンプンが老化するためです。つまり、アミロースが少なく、アミロペクチンの多いお米ほど、粘りがあり、冷めても硬くなりにくいといえます。


 世界に目を向けると、粘りのあるお米を好むのは日本人に特有の嗜好のようです。お米をサラダやスープ、カレーなどの付け合せとして食べているアメリカ、ヨーロッパ、アジアでは、どちらかというと硬くてパラパラとした粘りの少ないお米の方が料理にも合い好まれています。ですから、タイ米など日本人が苦手とするようなお米を、海外の方はむしろ好んで食べています。また、日本人が大好きな寿司に使われているお米は、コシヒカリなどの最高級米ではありません。寿司飯はご飯に合わせ酢を混ぜて作るため、粘りが少なく水分の少ない2級米などを用いた方が、食べたときの口当りがよく、“ねた”と合います。


 年々、米の消費量は減少する一方で、昭和40年頃と比べると約半分にまで減少したといわれています。本学の学生の食事調査を見ても、おかずはたくさん食べ、その分主食のご飯の量を減らす傾向にあります。しかし、先述の通り、お米は栄養の面からも非常に優れており、しっかり噛むことで満腹感が得られます。近頃では洗米に手間のかからない無洗米も品種ごとに数多く出回っておりますし、家電ショップでは家庭用の精米機だけではなく無洗米機までも見かけるようになりました。各家庭で、和・洋・中の様々な料理が作られるようになったのですから、料理に合わせてお米を選び、より一層、食生活を豊かにしていってもよいのではないでしょうか。


執筆担当:健康栄養学科講師 梅國智子

ページトップへ