心身健康科学のテーマ

テーマ1)物質の解明から「生命」「精神」の解明へ

現在の自然科学の関心は「精神」や「こころ」の解明にも向けられている。近年では脳機能イメージング法などの科学技術の開発によって、精神活動を視覚化することができるようになり、これまで捉えどころのなかった人間の「精神」がより身近な存在になっている。先端科学の潮流は、人間のいのちとそのつながり、生命の本質的・根本的問題を扱うことを重要課題としている。

テーマ2)いのちのつながり…地球の誕生、生命の誕生、人類の進化

地球上に生存する人間は、地球の誕生から今日に至る、長い進化の過程において、「よりよく生きる」ことを目標にそのプロセスを経てきた。生物は生きていく環境に適応するようにプログラムされ、現代人の私たちにもその情報は組み込まれている。

テーマ3)からだとこころのはじまりはどこか?

 "からだ"はおよそ60兆の細胞でできている。そのひとつ一つが"いのち"の最小単位であり、物質代謝と複製のしくみを備え、環境と響きあう力をもっている。個体レベルの生命活動も、この無数の細胞の見事な連携によって成り立っている。こころの座である脳細胞の働きも神経細胞同士の精ちな相互関係によって成立している。

テーマ4)ストレスのしくみ 脳・身体の反応

心身健康科学は、アロスタシスという新しいストレスの概念を提示する。アロスタシスは、ストレスに対処しようとする適切で効果的なからだの反応をいう。常に何らかの刺激の中で生活をしている私たちのからだは、その変化に対して適応反応を示して変動しており、ストレスについても同様に適応反応をしめす。不必要な「ストレス」を避けることで、アロスタシスの働きを回復することができる。

テーマ5)西洋と東洋の科学的融合

例えば、東アジアには「心身一如」の考え方が伝えられ、人間理解の基本となってきた。一方、西洋では、心身二元論に基づく人間理解によって近代医学が発達した。しかし、現在、心身を分けて考えることの反省から、心身の相関性を基礎とした人間理解が重要視されている。心身健康科学が、心身相関の科学に関するイノベーションの世界的な中心拠点となることは、西洋と東洋、科学と文化の融合という意味においても重要である。