トップページ > 生涯学習・公開講座 > 生涯学習特別講義 > 2009年度 第3回(2010.3.13)
「生涯学習特別講義」は本学独自のネットワークにより、社会の第一線で活躍する著名な先生をゲスト講師として招き、講義やパネルディスカッションを行なう特別講義です。
2010年3月13日に開催された、2009年度第3回生涯学習特別講義「死への準備教育~あなたは死をどう迎えますか~」では、上智大学名誉教授のアルフォンス・デーケン先生を迎え、死について様々な角度から講演して頂きました。日常生活においては、どう生きるかを考え、死についてあまり考えないかもしれませんが、本講義では、死について考えることにより、よりよく生きるにはどうすればいいかということについて、理解を深めて頂きました。
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講演録をまとめたHAS(Human Arts and Sciences )7号が2011年8月に発行(ISSN 1884-6262)されました。
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古来からの他界観は人々の心の中で強く意識されることが少ないうえに、構造的に曖昧であったため、近代化・科学化の波によって意識的な構造部分が洗い流され、さらに曖昧さを増しました。それゆえ、現代日本人においてはアンケート調査等で死後世界の存在を否定する人も多いですが、お盆の行事に見られるように、死者の霊魂に対して何らかの態度をとっている人はいまだに多いのです。すなわち、これまで日本人は死者の霊魂との何らかの関係性を重視し、その中で「生」のあり方を組み立ててきたのではないでしょうか。
演者は、「死」を考えることは、「生」のあり方を考えることでもあるとし、日本人の伝統的な死生観・他界観を明らかにしながら、考察を進めました。
「死に対する考え方や死の受け止め方は、個々人によって異なります。自分らしい生き方と同じように死が創られるとしたら、その人らしい人生を生きた証しになると思います。日ごろから死について学び、考え、身近な人と話し合う機会をもっていたら、死が訪れた時、無意味な恐怖心や耐え難い苦痛にとらわれることが少なくなり、よりよく生きることに心を傾けることができるのではないでしょうか」と演者は述べ、生命科学と生命倫理の立場から、生と死について考察されました。
アルフォンス・デーケン先生は、死を見つめることは、そのまま自分にいただいた「いのち」を最後までどう大切に生きぬくか、自分の生き方を絶えず問い直し、行動していくことと考えるとし、「いのちの尊さを考える」「死について考える」「ライフサイクルに応じて考える生と死」「未来に向けて考えよう」という4つの観点から、「生と死」を考えることの重要性を紹介しながら、今後の日本の課題と展望を模索して頂きました。
宗教人類学の知見から、日本の伝統的宗教文化にみられる「死への準備教育」について、巡礼の文化を例として挙げて考察されました。演者は、「死」をタブー視することで混迷の度合いを深めている現代社会において、先輩方が培って来た「死」を直視して対処する文化には、現代人が学ぶべき点がきっと数多くあるはずとし、講演されました。