本学教員の藤原宏子講師(人間科学部人間科学科、大学院心身健康科学専攻)らの研究グループによる原著論文が、英国の学術雑誌Scientific Reportsに2016年1月4日付けで発表されました。

2016.01.05 [プレスリリース]

脳と行動における性差‐ヒト言語理解のためのモデル動物・インコの研究‐

発表のポイント
  • ◆セキセイインコでは、配偶者の声に対する行動応答と神経応答に性差があることを明らかにした。
  • ◆ヒト感覚性言語野に類似した大脳領域で、神経応答の程度はメスが大きいこと、オスのみに右半球優位性があることを示した。
  • ◆ヒト言語には性差が見られ、セキセイインコを含む鳥の研究がヒト言語の理解に貢献することが期待される。

発表概要
 鳥類の中で、オウムの仲間と鳴禽と呼ばれるスズメの仲間は発声学習能力をもち、ヒト言語を理解する上で優れたモデルと言われています。本研究グループは、発声学習能力が高く、ペットとしても馴染みのあるセキセイインコを用い、配偶者の声に対する応答に、行動面でも神経活性の上でも性差があることを明らかにしました。
 本研究では、まずオスとメスを人為的につがいにして5週間飼育した後、つがいを解消し、配偶者とそうでない異性の声を交互に聞かせて、どのように返答するかを比較しました。オス・メスともに、つがいを組んでいる期間中にきちんと相手の声を覚え、配偶者の声に多く返答しました。しかし、つがいを解消して1ヶ月経つと、オスの方は配偶者ではない異性の声に多く返答するようになってしまいました。さらに、この時期に、大脳聴覚野の上位中枢であるCMMという領域を調べてみると、配偶者の声を聞かせた時は無音状態に比べ、メスでは左右両半球とも、高い活性を示しました。オスでは、配偶者の声を聞いた時、CMMの右半球側でのみ活性が上昇していることがわかりました。鳥とヒトの脳の比較研究から、CMMはヒト感覚性言語野に類似した領域であることがわかっています。また、ヒトでは、言語機能の左半球への集中化の程度は男性の方が大きいことが、つまり、半球優位性に性差があることが知られています。本研究結果は、鳥類で世界最初の報告として、鳥大脳のヒト言語野類似領域において、半球優位性の性差を示しました。  セキセイインコの脳を研究することで、ヒト言語に見られる性差の生物学的基盤が明らかにされることが期待されます。
発表雑誌名 Scientific Reports, 6, 18481 (発表日:2016年1月4日)
論文タイトル Sex differences in behavioural and neural responsiveness to mate calls in a parrot
著者 Hiroko Eda-Fujiwara*, Ryohei Satoh*, Yuka Hata, Marika Yamasaki, Aiko Watanabe, Matthijs A. Zandbergen, Yasuharu Okamoto, Takenori Miyamoto & Johan J. Bolhuis
論文DOI番号 10.1038/srep18481
発表者 藤原宏子 (人間総合科学大学大学院)
佐藤亮平 (北里大学医学部)
畠 由香 (日本女子大学理学部)
山崎真里佳 (日本女子大学理学部)
渡辺愛子 (日本女子大学理学部)
Matthijs A. Zandbergen (ユトレヒト大学、オランダ)
岡本安晴 (日本女子大学人間社会学部)
宮本武典 (日本女子大学大学院)
Johan J. Bolhuis (ユトレヒト大学、オランダ)


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