トップページ > 学生生活 > キャンパスだより > 心と身体の健康メモ > 第2話:こころの相談
今回お話しくださるのは、藤城有美子先生です。
先生は本学教員の傍ら、臨床心理士としてもメンタルクリニックにおいて臨床(カウンセリング)活動を続けていらっしゃいます。また、メンタルヘルスについての研究を重ねてこられました。
育児不安、障害児の療育、不登校、家庭内暴力、非行、ひきこもり、不適応、過労自殺、うつ、認知症、介護疲れ、障害・疾病受容、性格の悩み、精神疾患、家族関係やその他の対人関係などなど、今日私たちはさまざまな問題を抱え、迷い、試行錯誤しています。こころの問題はごく一部の限られた人のものではなく、誰でも当事者になりうるのだ、という認識も広まってきました。では、そんな悩み、苦しみを、私たちはどうしていけばいいのでしょうか。
なにか壁にぶつかったときに、自分の問題をじっくりひとりで考えてみることが、新たな成長につながることもあります。でも、他人に相談することで、堂々巡りから逃れ、別の視点が得られることも、たくさんあります。こころの相談にのることは、心理の専門職でなければ不可能というものでもありません。家族や友人、職場の同僚、おなじ悩みを抱えた仲間たちに相談し、解決が図られたり、気持ちが落ち着いたりすることも、いくらでもあります。また、そのような人間関係や社会とのつながりに支えられていることは、生きていくうえで重要な意味を持つでしょう。
臨床心理の専門家への相談は、そのような相談先の選択肢の1つです。ここでいう'臨床心理の専門家'とは、臨床心理のトレーニングを受け、臨床心理学の専門知識や技術を用いて心理的な問題を取り扱うひとのことを言います。このような人たちは、素人では対応できない難しい問題に対応する訓練を受けていますし、契約終了まで責任を持って対応してくれます。また、専門家同士のネットワークがあり、より適切な機関などへの紹介が可能です。職業上守るべき倫理基準も、明確に定められています。
「身近な人に相談すると、相手に負担をかけるようで気が引ける」、「職場で相談すると、利害関係が生じそうで躊躇してしまう」、「問題解決には長い年月がかかりそうなので、じっくり相談したい」、「要因が複雑に絡み合っていて、どこから手を付けていいか分からない」などの場合には、臨床心理学に基づく理論と技法、臨床経験を持った専門家に相談してみることもひとつの手でしょう。
臨床心理の専門家は、今のところ国家資格ではありませんが、公益法人や関連学会などによって認定された複数の資格があります。臨床心理士(日本臨床心理士資格認定協会)、学校心理士(学校心理士認定運営機構)、臨床発達心理士(臨床発達心理士認定運営機構)、認定カウンセラー(日本カウンセリング学会)、産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会)、医療心理士(日本心身医学会)などが挙げられます。資格取得や更新のための要件は、各資格によって異なります。臨床心理の専門家は、専門知識に基づいたアセスメント、面接、地域援助、研究などを行っています。
臨床心理の専門家に相談できる場所としては、国や地方自治体の相談窓口・機関、医療機関、学校や企業内の相談部署、外部EAP(従業員支援プログラム)機関、大学附属の相談機関、私設心理相談機関などがあります。なお、現在継続中の相談・医療機関がある方が、別に相談をご希望される場合には、まず現在の担当者とよく相談してみて下さい。両担当者間で連携をとることが、よりよい支援につながるからです。
執筆担当:人間総合科学大学講師 藤城有美子