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第15話:真夏の水分補給とスポーツドリンク

春、新入生を迎えたのは、昨日のことのようですが、もう夏休みです。学生たちにとっては、日々の勉強からちょっと解放されて、一息つける時期かも知れません。さて、今回は、この夏の季節に注意して欲しい「脱水症を予防するための水分補給」について、本学専任講師、稲葉洋美先生にお話を伺いました。先生は明治製菓(株)生物科学研究所で「オリゴ糖」や「スポーツ用サプリメント」の開発に携われた後、本学健康栄養学科の開設にあたり招聘されました。基礎栄養学、応用栄養学がご専門で、基礎栄養学実験やライフステージ別の実習(応用栄養学実習)などをご担当です。また、ご自身も学生時代はバスケットボールの選手だったと伺っています。


人間科学科 稲葉洋美  暑い日が続いていますが、皆さまは、夏バテなどされていませんでしょうか。夏ばての原因のひとつに、かるい脱水症状もあげられます。喉が渇いた時に、皆さまは何を飲みますか。冷たい麦茶や、キンキンに冷えたビールのおいしい季節ですが、今回は、多くの方が手軽に飲むことのできる「スポーツドリンク」についてお話しします。

 人の体の50~80%は水分です。新生児のみずみずしい体には、非常に多くの水分が含まれており、体重の70~80%にもなります。成人男性では約60%、成人女性では、男性よりも脂肪が多い分、もう少し少なくなって約50%と言われています。そして高齢者になると、水分含有量は男女ともに、さらに少なくなります(図1参照)。毎日の生活の中で、脱水症状に特に気をつけなくてはならないのは、体水分率が高いけれど、腎機能などが未発達な新生児と、体水分率が低い高齢者の方々です。また、スポーツをする人たちも屋外、屋内にかかわらず水分の摂取には十分注意する必要があります。

 スポーツをする方は、夏場などで大量に汗をかいた時、色の濃いTシャツを着ていると白く塩分がTシャツに浮き出ているのを見た経験があると思います。汗には水分だけでなく、食塩、カリウム、マグネシウム、鉄などのミネラルや電解質が含まれています。大量の汗とともに皮膚からTシャツに流れ出た塩分が、汗の蒸発の後に残って、白く見えているのです。このような大量の汗をかいたときに注意することは、その流した汗の量に見合っただけの水分を簡単には補給できないということです。これは昔から知られており、「自発的脱水」と呼ばれています。真水だけを大量に飲んでしまうと、血液中の塩分濃度(0.9%)が低下してしまいます。この塩分濃度の低下を防御しようと体がはたらくため、失った大量の水分と同じ量を体は吸収することができないのです。

 では、どのような飲み物なら吸収がよく、体水分として保留されやすいのでしょうか。答えは、「塩分が少量含まれており、吸収をよくするための糖質が入った飲料」です。そのため、今では多くの飲料会社がきそって、塩分や、糖質、あるいはアミノ酸を含むスポーツドリンクを発売しています。市販のスポーツドリンクを選ぶときには、以下の2点がポイントになります。参考にして下さい。また、5~15℃と冷蔵庫から出して少し経ったときの温度が、水分を吸収しやすい適温と言われています。

     ① ナトリウム:40~80mg (食塩として0.1~0.2%)
     ② 糖   質:4~8%

 スポーツをされなくても、例えば睡眠中には350ml、入浴(40℃、10分間)では500mlの発汗があると言われています。汗をかいた後に水分補給をすることはもちろん大切ですが、脱水状態にならないためには、寝る前にコップ一杯、入浴前にコップ一杯の水分をとる習慣をつけると良いでしょう。スポーツをする際にはどれくらいの水分摂取が適切かを表1に示しましたので、スポーツをされる方は是非参考にしてください。

 また、体重の3%以上の脱水(体重60kgの人で1,800ml)が起こると運動機能は低下して、競技力が落ちるだけでなく、熱中症などの事故の原因にもなるので要注意です。尿の色は脱水の目安にもなります。ふだんから自分の尿の色にも注意を払い、いつもよりも濃い色の尿が少量しか出ない時は、脱水の可能性が高いのでスポーツドリンクなど吸収の良い水分で積極的に水分補給を行い、真夏を上手に乗り切りましょう。

【スポーツドリンクのラベルの見方】
  ハイポトニック飲料: 体液よりも浸透圧が低くて吸収されやすい飲料
  ハイパートニック飲料: 体液よりも浸透圧が高い飲料
  アイソトニック飲料: 体液と浸透圧が同じくらいで吸収されやすい飲料

図1
表1

執筆担当:講師 稲葉洋美先生



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